昔話:父の持っていた爆弾と、脳について

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 気が付いたら、もう息子が生まれて早3週間。時間に追われてる時の忙しい時間の経ち方は半端なく早いです。

 逆に思う存分楽しいことして、幸せな時間を過ごしてるときは、後で振り返ったとき、今年1年長かったなぁと思える時が多いです。

 僕の場合、2000年~2004年までの時期はすごく良い時期を過ごしたので、とても色々と楽しい事があって、今振り返っても長ーく感じてます。その代わりなかなか辛かった2005~2007年までの記憶のぶっ飛び方ったらないです。光の速さで通り過ぎてしまい、ほとんどプライベートの記憶がないんです。実時間は同じ1年でも脳の中での時間経過はかなり差が激しいです。

 こうやって、生きがいも捨て、仕事にどっぷり浸かっているとあっという間に歳を取ってしまうのだなぁと思います。この機会に一旦リセットして、本当にやりたいことへ時間を使いたいなぁ、と最近特に思います。

 本題。

 脳について非常に興味があります。きっかけは親父の病気でした。

 ほとんど病気らしい病気をしてこなかった親父でしたが、忘れもしない2002/03/18、ヘラ釣りに熱中している僕に1本の携帯電話がかかってきます。

 とにかく母親が慌てていて、「お父さんが奇声を発しながらぶっ倒れてしまった」と言います。どうも痙攣しているし、脈が不安定で、これから救急車で運ぶのだけど、危険な状態かもしれない、と言うのです。

 そのとき、なんというか僕には突然来た「その日」に対して、何の心の準備もしていなかったため、妙に冷静でした。まさか、親父にそんなことはありえないだろうと。Tacoぺが一緒だったんですが、「高速使わないでゆっくり帰ろうよ」なんて、余裕をかましていたくらいです。

 実際病院に到着してみたら、全く意識が無く、既に混沌としている状態でした。嘔吐や痙攣を繰り返し、脈や血圧も乱れ、見た感じかなり危険な状態だとさすがの僕にも分かりました。しかし、医師や看護婦が回りを取り囲み、近づくことさえままなりません。

 突然やってきた非日常すぎる非日常にただただ戸惑うばかり。取り立てて何をすることも出来ず遠目からただただ観察していました。しかし、不思議なのですが、このときは意外に冷静です。

 一度、全ての測定機器がピーっと一斉に嫌な音を立てて、医師が一段と緊張した瞬間がありました。母は、「残された息子達はどうするの、生きて!」と叫んでいました。息子3人、もう成人して就職もしていたので、その台詞はどうなのだろうと思ったのですが、母親としては、それが一番の激励だったのだと思います。

 僕にはよく分からない注射を何度かしたのち、奇跡的になんとか持ち直しました。あとで聞いたのですが、このままショック死してもおかしくなかったそうです。

 初めに運ばれた病院で、とりあえず取ったレントゲンには、脳の部分に真っ白(真っ黒だったかな?)な影が大きく映っていました。これは一体何だ?搬送されてきた救急病院では、脳外科が無かったため、急いで脳外科のある病院に移送する事になりました。

 移送された脳外科でCTやMRIなどを行ってみたところ、原因は、脳内の髄膜脳胞でした。髄膜脳胞と言うのは、髄膜と言われる頭蓋骨と脳本体の間にある膜に髄液が溜まり、袋状になって髄液の通り道が無いため、脳内を圧迫していく病気です。親父は先天的に脳胞持ちだったようで、それが老化して脳が萎縮したきっかけから脳胞に髄液が溜まり始めたと言う事でした。

 とりあえず、脳内の良性腫瘍と言う事で安心はしたのですが、また髄液が溜まり始めると、てんかんが起き、まだまだ危険だと言われました。しばらく無意識のまま寝ていて、ようやく目を覚ましたと思ったら、半身の麻痺と言語障害が残ってしまいました。ホッとしたのもつかの間、今度は別の問題が発生です。当時、自営業をやっていたので、店を一体どうすればよいのか。

 そのときは僕も会社も休みにしたので、脳について調べまくりました。調べたところで何もならないのですが。とりあえず、親父の脳に何が起きてるかは大体理解しました。母親に説明するのにも役立ちました。MRIで取られてくる、不気味なデカい影(直径5センチ弱くらいあったと思う)は未だ脳に残ったままです。

 上手く行くか分からないが、脳胞がある部分の頭蓋骨に穴を開けて、頭からお尻の方にチューブを出し、髄液の流れを作る手術が有効だと言われ、早速行われました。

 1回目の手術。手術自体は簡単で、あっという間に終わりました。頭蓋骨に穴開けるのって意外に簡単なんだなぁと思いました。

 しかし髄液の流れを見る検査を行ったところ、髄液の新しい流れは全く出来ていないようでした。しかも不気味な影はなかなか消えてくれません。

 2回目の手術をやるかで選択を迫られました。これ以上開けても髄液が流れていく可能性は低いと言われました。医師の方も、そっちの方面はほぼあきらめたのだと思います。

 仕方なくチューブを取り去る手術をもう一度行います。

 そのとき、奇跡的な状況が訪れました。医師にも理由は分からないようですが、チューブを入れて、抜いたことにより、脳胞に出口が出来たようなのです。

 それから親父の症状は見る見るうちに回復していきました。言語障害も半身麻痺も無くなり、数ヶ月後には元気に退院しました。

 脳は不思議です。硬さは豆腐くらいだと言われます。ちょっとした脳圧の変化で言語障害がでたり、麻痺になったりします。まだまだ未知の部分だらけです。

 そんなわけで脳には格段の興味があるのです。僕の興味は、脳自体の仕組みじゃなくて、損失や圧迫や、先天性の障害でどういった事が起きてしまうかなど、そっち方面なのですが。何か良い本があったら読みふけりたいです。

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